67回目の病院設立記念日にあたり、お話をさせていただきます。

今年度の病院は、病床・人員の削減という大きな事業の他、それに伴う引っ越しや電子カルテの導入、また地域ケア部長、弥生ヶ丘施設長の突然の交代など、まさに激動の中にあると言えます。国全体の先行きすら不透明な中ですが、職員のみなさん一人一人に、この荒波の中で少しでも未来への見通しを共有してもらえるよう、私が見ている将来の病院の姿についてお伝えしようと思います。

今後は精神科病院も、内科や外科などの一般病院と同じように、急性期病院か、慢性期のリハビリ病院か、それとも診療所や福祉施設になるのかの選択を迫られるようになってきます。ただし、精神科病棟における急性期という言葉は、緊急とか重症とかいう意味ではなく、入院期間が短いという意味で使われ、およそ3ヶ月以内を急性期、1年以内が慢性期、国が定める重症の基準を満たさない1年以上が主になる病棟は、医療ではなく福祉枠の扱いとなり、病棟を閉鎖するか施設化するなどの転換が必要になる見通しです。

つまり、今後の医療の対象となる「3ヶ月以内」「1年以内」の入院者数が、将来の病院の機能と規模を決めると言えるでしょう。昨年度の統計によると、今後「医療の対象」となる当院の1年以内の入院患者さんは約100人で、そのうち3ヶ月以内の入院患者さんは40人です。

私は、現在の診療体制に加えて、地域内外からのニーズの高い専門領域への対応を充実させることでこの数を増やして、病院の規模を適正に維持していきたいと考えています。特に当院の強みである「依存症」「発達障害」、今後の老健の移設を睨んで「認知症」に関しては、多部署・多職種が枠を越えた連携とサポートが可能になる仕組みを構築したいと考えています。また、それに伴って、「デイケア」と「アウトリーチ部門」を拡大することにより、地域ケアサービスの向上と同時に、皆さんの働き場の確保も目指します。

以上、将来の病院は、専門性が高く、入院期間は短く、地域ケア活動が活発な、多くの患者さんに必要とされる病院を目指すということをお伝えして、本日の設立記念日の挨拶としたいとします。是非、同じ方向を向いて力を合わせていきましょう。

2016年10月1日