平成31年 新年度病院目標「リカバリー志向の病院になる」  2019.4.1

新年度の病院目標には、昨年度からの「短期入院者の割合の増加」と「魅力ある職場づくり」の上に「リカバリー志向の病院になる」を大きな目標として掲げました。

ご存知のように、現在の精神医療や福祉は大きな転換点に差し掛かっています。病状を管理することを中心とした従来の「医療主義」の考え方から、患者さんの主体性を支えながら社会生活の中で目標を共に見出していくという「生活主義」「リカバリー志向」への転換の流れは、非常に大きな変革であり、精神科病院にとっては生き残りのための踏み絵のようなものだと感じています。

つまりリカバリー志向へ転換できず、目先の経営のために患者さんや利用者さんを自施設に抱え込んでおく方が有利だという考えの病院は、いずれ色々な意味で時代から取り残され、必要とされなくなっていくと思うのです。

この「リカバリー志向の病院になる」というのは、第一義には現在当院で療養中の患者さんのQOLの向上のためでありますが、その姿勢というのは今後、これからのユーザーに病院が選ばれていく一つの大きな理由となっていくはずです。それに加えて私は、リカバリー志向が病院のカラーとして定着すれば、この分野で志を持って働いている、あるいは働きたいという医師、看護師、コメディカルの多くの優秀な人材を当院に惹きつける何にも勝る魅力にもなるではないかと考えています。

地域の人口減少によって、患者さんとともに働き手の不足が病院を淘汰する時代になってきています。そのどちらからも選ばれる病院になり続けること、それが何よりも重要なことではないでしょうか。そのために「リカバリー志向の病院になる」。これをいつも皆さんの胸に刻んで行動してほしいと願っています。